スタッフブログ

2018年10月03日

インクフロー

 

今日はあまりにインクの出が悪いので
万年筆のペン先の清掃をしました。

専用のクリーニング液に分解したペン先を数時間つけて
付着した古いインクを溶かして落とします。

汚れを水洗いして
綺麗になったペン先を軸に差し込んでペンに組み直し
インクをセットしてゆっくり紙に下ろすと
特に待つこともなく細いインクが流れてきました。
おおー。

 

ペンを振る必要もなく、紙をひっかくこともなく、
スーッと黒い線が引かれていく気持ちよさ。
万年筆の良さはとにかく筆圧を全くかけずにさらさらと書けることなのです。
それも黒々くっきりとした文字が。

 

文字がスラスラ書けることは
自分の考えを引き出す際にとても有益です。
ひっかかりのない筆記は考えを表に出すことを助けます。
何か自分の中にある思いや考えを外に表現するには
なるべく障害がない方がいい。

 

以前は考えをスラスラ表現する行為を
キーボードに求めていました。

手に馴染むキーボードと、効率のいい日本語入力メソッド。
ショートカットキーも覚え、現在の日本語入力はとても快適です。

しかしペン筆記にはまだかなわない。

理由は頭の中に湧いてくるものと実際に出力されるものの間に
経由するものが多すぎて、直感的とは言い切れないから。

障害の一つはローマ字入力。
二つ目は仮名漢字変換。
そして三つ目はモニタにフォントで表示されること。
他人行儀で遠いのです。

三つの人工的な手続きがタイピングのつど、
わずかながら思いの排出の妨げになり
結局自分の脳の一部を常に占拠することで
集中力の減少を招くのです。

 

だから私の好きな方法は
考えを出す段階だけはなるべく手書きで着手。
その後の編集、清書はタイプしてまとめます。
手書きとタイプという2ステップは効率が悪そうですが
逆に時間短縮になるくらいです。

タイピングは編集の自由度がありすぎるので
途中でついいじりたくなってしまう。
手書きは途中いちいち直さず、
一気に出し切ってしまうことしか求められないのです。

 

途中で止まることなく1から10まで、
それがどれだけめちゃくちゃな日本語であっても最後まで一気に書ききる。

熱い自分(手書き)と冷静な自分(パソコン)の分担により
どちらの役割もスピーディに仕事をこなしてもらう。
その役割分担が私にとって最も効率のいいまとめ方です。

なお長文の場合は全てを書くわけにもいかないので
箇条書きの原稿メモを作ることが多い。
それは枝葉は考えないメモです。

 

それにしても
インクフローのいい万年筆とは
なんとありがたいものなのだろう。

高級品でない庶民派の万年筆ですが、
カリカリせず、スラスラと、真っ黒な文字が生成されてゆく。

さっきまであれほど駄々をこねていた
出し渋りの万年筆とは思えない饒舌ぶりに嬉しくなってしまう。

ペンの走りは人を幸せにするな。

やはり仕事のインターフェースは
良いものを使うべきです。

 

 

  • 一覧はこちら