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2018.08.18

「輝ける闇」に再会した

「輝ける闇」に再会した

長い間、実務的な読書のウェイトが大きくて
単純に楽しむ読書、表現を味わう読書から遠ざかっています。

自分にとっての読書は長い間、
「よりよく生きるため」「仕事がうまくいくように」が第一の目的になっており
雑誌や漫画を除けば成果を求めるものが多くを占めていました。

そういう読書もいいのですが
表現を味わう読書、という言い方でふと思い出すのは
20代前半によく読んだ、
開高健(かいこう たけし)氏の作品でした。

そのころはまだ役所勤めで
その後の人生に比べると、のんびりしていた時期でした。

氏の代表作品「輝ける闇」は
ベトナム戦争で従軍した記者の目で語られる小説で
湿気でべたつくような読後感が思い出されます。
「悠々として急げ」なんて表現も開高氏独特のものでした。

氏の作品はほとんど読んだと記憶していますが
それほどこの作家の表現にハマったのでしょう。
濃厚で温度や湿度を感じるものでした。

しかしながら、引越しのたびに持ってきていた古い文庫本の束は
忙しさの中で顧みられることもなく
ある時期にほとんどを処分してしまい、長く忘れていました。

ちょっと懐かしくなって検索してみると、なんと
「開高 健 電子全集 闇三部作」なるものが出ているではないですか。
いや、全作品も電子化されてる。おお。

解説には
「開高文学の最高傑作『輝ける闇』、『夏の闇』、『花終わる闇』は
 総称して『漂えど沈まず』と冠されるはずであった・・。 ・・・」
とある。
そうだったのか。その総称、めっちゃ合ってる。と独り言。

懐かしい書き出しを読んだだけで、
当時住んでいた独身寮の個室の暑苦しさまでが蘇ってきました。

長い間、読書の一番美味しいところを放棄していたかもと
軽い後悔の念を覚えつつ、
懐かしい旧友にあったような喜びを感じ
さっそく「闇三部作」にズブズブと浸かり始めている休日であります。

この記事を書いた人

代表井上浩一郎

1964年福岡生まれ。鹿児島市在住。伊佐市出身。国土交通省航空保安大学校卒業。航空局管制技術官を辞め、営業職を経験しながら起業の道を模索。顧客向け会報誌を担当したことがきっかけでメディア作りにハマり、その後情報誌出版で創業。犬2頭とのランニングが日課。趣味として国際政治や戦略論を勉強中。

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